鉄骨造の3種類|ラーメン構造・ブレース構造・トラス構造の概要
3行まとめ
- 鉄骨造の骨組みは、力の支え方の違いでラーメン・ブレース・トラスの3種類に分かれます。
- 間取りの自由度はラーメン、コストの安さはブレース、大空間はトラスが得意です。
- ユニットハウスの主構造はラーメン。ただし一部の壁に筋交い(ブレース)が入る製品もあり、その壁は窓や入口の配置に影響します。
結論:鉄骨造は「力の支え方」で3つに分かれる
鉄骨造の建物と一口に言っても、骨組みの作り方は一つではありません。柱や梁がどうやって地震や風の力に耐えるか――その支え方の違いで、大きく3種類に分かれます。
鉄骨造の骨組みは、大きく3種類です。柱と梁を固く接合する「ラーメン構造」、筋交いで補強する「ブレース構造」、部材を三角形に組む「トラス構造」があります。それぞれ力の支え方が違い、得意な用途も異なります。名前は聞き慣れないかもしれませんが、仕組みが分かれば選び方は簡単です。
この記事では、3つの構造を図解と表で整理して解説します。プレハブ建築との関係や見た目での見分け方、ユニットハウス選びへの影響まで、順を追ってまとめました。専門用語は最小限にとどめ、はじめて調べる方でも迷わないように解説します。
そもそも「鉄骨造」とは?木造・プレハブとの違い
建物の構造は、大きく分けると「木造」「鉄骨造」「鉄筋コンクリート造(RC造)」の3系統があります。鉄骨造は、その名の通り柱や梁に鋼材(鉄骨)を使う構造です。木造に比べて強度が高く、大きな空間や複数階の建物を作りやすいのが特徴です。
ここでよく混同されるのが「プレハブ」という言葉です。プレハブは構造の種類ではなく、「工場であらかじめ部材や箱を作り、現場で組み立てる」という建て方(工法)の名前です。木造プレハブもあれば、鉄骨プレハブもあります。つまり「鉄骨造」と「プレハブ」は、比べる軸が違う別々の分類なのです。
そして、世の中に流通しているプレハブ建築――特にユニットハウスやスーパーハウスと呼ばれる箱型の建物――の多くは、鉄骨造のプレハブにあたります。工場で鉄骨の骨組みに壁や屋根を組み付けてユニット(箱)として完成させ、トラックで現場に運んで設置するのが一般的な流れです。この記事のテーマである「ラーメン・ブレース・トラス」は、その鉄骨の骨組み部分が、どういう仕組みで力を支えているかの分類にあたります。
なお、木造プレハブも存在します。しかし、住宅以外の事務所・現場休憩所・倉庫といった用途では、強度と量産のしやすさから鉄骨造のプレハブが主流になっています。検索で「プレハブ」を調べると鉄骨造の話が多く出てくるのは、こうした背景があるためです。
「軽量鉄骨・重量鉄骨」との違いに注意
もう一つ混同されやすいのが、「軽量鉄骨」「重量鉄骨」という言葉です。こちらは鋼材の厚み(太さ)による分類で、この記事のテーマである「ラーメン・ブレース・トラス」(支え方による分類)とは、見ている軸がまったく違います。
軽量鉄骨は鋼材の厚みが6mm未満、重量鉄骨は6mm以上が目安とされ、住宅展示場やハウスメーカーの広告でよく見かける言葉です。一方、ラーメン・ブレース・トラスは、その鋼材(軽量でも重量でも)をどう組み合わせて力を支えるかという設計上の分類です。たとえば「軽量鉄骨のラーメン構造」「重量鉄骨のラーメン構造」というように、2つの分類は組み合わさって成立します。検索で両方の言葉が出てきて混乱した場合は、「太さの話」と「支え方の話」を分けて考えると整理しやすくなります。
ラーメン構造 ― 柱と梁だけで支える「枠」の構造
ラーメン構造は、柱と梁をがっちり固定(剛接合)して、その接合部で力に耐える骨組みです。名前はドイツ語の「Rahmen(枠・額縁)」から来ていて、その名の通り、四角い枠を組み合わせて建物を支えるイメージです。
最大の特徴は、筋交いが不要な点です。壁の中に斜めの補強材を入れずに済むため、大きな窓や広い開口を自由に取れます。間取りの自由度が高く、事務所や店舗、ショールームなど「広く使いたい空間」に向いています。オフィスビルやマンションなど、高層建築にも使われる応用範囲の広い構造です。
一方で、柱と梁の接合部を頑丈に作り込む必要があるため、部材や施工の手間がかかりやすく、コストは他の2構造より高めになりがちです。それでも、後で触れるようにユニットハウスの主構造はこのラーメン構造が採用されています。箱ごと工場で作って運ぶという作り方と、開口の自由度を両立できるからです。
ブレース構造 ― 筋交いで補強する「バツ印」の構造
ブレース構造は、柱と梁に**「筋交い(ブレース)」を斜めに入れて、水平方向の力に耐える**方式です。地震や風で建物が横に揺れようとする力を、対角線のタスキ掛け(バツ印)で受け止めます。木造住宅の「筋交い」と同じ発想と考えると分かりやすいでしょう。
部材が細く済むためコストを抑えやすいのが利点です。工場で規格化した部材を組み合わせて作れるため、価格を抑えながら十分な強度を確保できます。昔ながらのパネル式プレハブ(現場の仮設ハウスなど)では、この方式で壁を補強しているものが多く見られます。
ただし注意点が一つあります。筋交いが入る位置には壁が必要なので、その壁には窓や扉を大きく取りにくいという制約が生まれます。この「開口が制限される」という性質は、あとでユニットハウス選びの話でもう一度出てきますので、覚えておいてください。
そして大事なポイントを一つお伝えします。この「筋交い」を使った構造こそが、ブレース構造です。 建物の壁に斜めの部材(バツ印)が入っているのを見かけたら、「あ、この壁はブレース構造で補強しているんだな」と分かります。名前と実物がここでつながります。
トラス構造 ― 三角形を組んで大空間を作る構造
トラス構造は、部材を三角形に組み、軸力(引っ張り・押しの力)だけで荷重を支える方式です。三角形は形が変わりにくい(変形しにくい)性質があるため、細い部材の組み合わせでも高い強度を出せます。屋根の骨組み(トラス屋根)でよく使われる構造でもあります。
強みは、柱なしの大きなスパン(空間)を作れることです。倉庫や車庫、体育館、大型の休憩所など、柱で空間を邪魔されたくない広い用途に最適です。部材が軽量で材料も節約でき、工場で三角形のユニットを作って現場で組み立てられるため、施工のスピードも出しやすい構造です。
反面、三角形を組む部材が室内側に見えることが多く、天井の見た目や間仕切りの自由度は他の2構造より制限されやすいという側面もあります。倉庫のように「広さ優先・見た目は二の次」という用途で選ばれることが多い構造です。
3構造の比較表
ここまでの内容を、選ぶときに参照しやすい形で表にまとめます。
- 支え方
- 柱と梁の剛接合
- 強み
- 間取り自由・開口が広い
- 弱み
- コストが高め
- 向く用途
- 事務所・店舗・ユニットハウス本体
- 支え方
- 筋交いで補強
- 強み
- 低コスト・シンプル
- 弱み
- 筋交いの壁は開口が制限される
- 向く用途
- 壁の補助補強・仮設パネル
- 支え方
- 三角形の軸力
- 強み
- 大空間・軽量
- 弱み
- 天井の見た目・間仕切りに制限
- 向く用途
- 倉庫・車庫・体育館の屋根
迷ったら「間取りの自由さが欲しいならラーメン、筋交いで手軽に補強するのがブレース、広さと軽さならトラス」と覚えておけば十分です。
ユニットハウスの構造は?――主構造はラーメン、一部にブレースの壁
さて、ここからが本題です。ユニットハウス(箱型プレハブ)の主構造は、四隅の柱と枠を固く接合して支える「ラーメン構造」です。 実物の骨組みだけの状態を見ると、四隅の柱と、上下をぐるりと囲む枠だけで箱が立っていて、壁の中に斜めの筋交いが入っていないことが分かります。これがまさにラーメン構造の姿です。柱と枠の接合部で力を受けるので、筋交いなしでも箱の形を保てるわけです。
だからユニットハウスは、壁の中に斜めの筋交いがないため、窓や入口を広く取りやすいのが特徴です。 事務所や店舗として使うときに「窓を増やしたい」「出入口を広くしたい」という要望に応えやすいのは、この構造のおかげです。
ただし製品によっては、一部の壁に筋交い(ブレース)が入っているものもあり、その壁は窓や入口の配置が制約されます。 ここで、さっき覚えた知識が効いてきます。筋交いが入った壁は、その位置に壁が必要になるため、窓や入口の配置・大きさ・幅が制限されるのです。つまり「この壁は斜めの材が入っているから、ここには大きな窓は付けにくいな」と、自分で見て判断できるようになります。
まずは商品ラインナップを見る→中古ユニットハウスを選ぶとき、構造は気にすべき?
中古のユニットハウスを選ぶときは、この視点がそのまま役立ちます。大きな窓や広い入口が欲しいなら、筋交いの入っていない壁面を選ぶと開口を取りやすくなります。 逆に、筋交いのある壁面に大きな開口を無理に開けようとすると、強度に関わるので避けたほうがよいでしょう。これを現物で見分けられると、購入後の「思っていた場所に窓が付けられなかった」という失敗を防げます。
とはいえ構造だけで決めず、サイズ・状態・価格を合わせて比べるのが確実です。 構造は建物選びの一つの視点にすぎません。実際の選定では、設置場所の広さ、必要な用途、予算といった条件と合わせて総合的に判断することになります。
見た目で構造を見分けるコツ
用語だけだとイメージしにくいので、現地や写真で構造を見分けるポイントも押さえておきましょう。ユニットハウスの場合、いちばん分かりやすいのは、壁の中や窓のまわりに斜めの部材(バツ印や片流れの斜め線)が見えるかどうかです。斜めの部材が見当たらず、柱と枠だけですっきり四角に見えるなら、その面はラーメン構造です。斜めの部材が入っていれば、その壁はブレース(筋交い)で補強されている、と読み解けます。
天井や屋根裏を見上げたときに、三角形を組んだ骨組みが規則的に並んでいる場合はトラス構造です。倉庫や車庫タイプの建物でよく見られます。写真だけで判断が難しいときは、遠慮なく展示場のスタッフに聞いてみるのも確実な方法です。実物を目の前にすれば、説明を受けながら数分で見分けがつくようになります。
耐震性は構造によって差があるのか
「どの構造がいちばん地震に強いのか」と気になる方も多いはずです。結論から言うと、構造の種類そのものより、設計と施工がきちんとしているかどうかの方が重要です。
ラーメン・ブレース・トラスは、それぞれ異なる仕組みで力を受け止めています。いずれの構造であっても、建築基準法に基づいた強度計算がなされていれば、用途に見合った耐震性を確保できます。
ユニットハウスの主構造であるラーメン構造は、接合部の剛性がそのまま耐震性に直結します。そのため、しっかりした製造メーカーの製品を選ぶことが安心につながります。中古を検討する際は、構造の名前だけでなく、製造メーカーや設置年、メンテナンス履歴も合わせて確認すると、より安心して選べます。
用途別・どのユニットハウスを選べばいいか
実際に検討する際は、次のような目安で考えると選びやすくなります。
- 事務所・店舗として広く使いたい → 開口を取りやすいユニットハウス。筋交いの入っていない壁面が多いものを選ぶ
- 窓や入口の位置にこだわりたい → 現物で筋交いの位置を確認し、希望の開口と両立するかを見る
- 倉庫・車庫として大きな空間がほしい → 屋根にトラス構造を使った大スパンのタイプが向いている
- 中古で選ぶ場合 → 構造だけで決めず、サイズ・状態・価格を合わせて比較するのが基本
構造は建物選びの一つの視点にすぎません。設置場所の広さ、必要な用途、予算といった条件と合わせて、総合的に判断していきましょう。
施工期間・重さから見る違い
選ぶ側が意外と見落としがちなのが、施工期間と建物の重さです。ユニットハウスは工場で箱ごと完成させて運ぶため、現地では設置するだけで済み、導入までの期間が短いのが大きな利点です。中古であれば、既製品を運んで据え付けるだけなので、さらに短期間で使い始められます。
急な増設や仮設用途で「とにかく早く設置したい」という場合、この「運んで置くだけ」という手軽さは大きな武器になります。また、鉄骨造でも軽量鉄骨を使った製品は建物が比較的軽く、基礎工事も簡素化できることが多いため、設置コスト全体にも良い影響があります。
よくある勘違い――「鉄骨造は寒い・暑い」は構造のせい?
「鉄骨造は夏暑くて冬寒い」というイメージを持つ方もいますが、これは構造の種類(ラーメン・ブレース・トラス)による違いではなく、壁や屋根の断熱材・仕様による違いです。鋼材そのものは熱を伝えやすい性質がありますが、近年のユニットハウスは断熱パネルや二重サッシを採用した製品も増えており、構造の種類にかかわらず快適性を高められます。
同様に「鉄骨造は音が響きやすい」というイメージも、遮音材の有無や床・壁の仕様による影響が大きいといえます。骨組みの違いだけで決まるものではありません。構造の知識は建物選びの土台にはなりますが、実際の住み心地・使い心地は、断熱・遮音といった仕様面も合わせて確認することが大切です。展示場では、こうした仕様面も含めて実物で確かめられます。
まとめ ― 構造を知ると中古選びがうまくなる
- 鉄骨造はラーメン・ブレース・トラスの3種類があり、力の支え方が異なります
- 間取りの自由度はラーメン、筋交いで補強するのがブレース、大空間はトラスが得意です
- ユニットハウスの主構造はラーメンです。ただし一部の壁に筋交い(ブレース)が入る製品もあり、その壁は窓・入口が制限されます
- 大きな窓や入口が欲しいなら、筋交いの入っていない壁面を選ぶのがコツです
構造の知識は、中古ユニットハウスを選ぶときの「見る目」になります。とはいえ、実物を見れば違いは一目瞭然です。BIG10(ビッグ10) の展示場なら、いろいろな構造・メーカーの中古を並べて確認できます。気になる一台があれば、筋交いの位置や在庫・状態を電話で気軽に確かめてみてください。
全国の展示場で実物をご確認いただけます。
まずは在庫確認など、お気軽にお問い合わせください。
よくある質問
鉄骨造の構造は何種類ありますか?
大きく3種類です。柱と梁を固く接合する「ラーメン構造」、筋交いで補強する「ブレース構造」、部材を三角形に組む「トラス構造」があります。それぞれ力の支え方が違い、得意な用途も異なります。
ユニットハウスはどの構造でできていますか?
ユニットハウス(箱型プレハブ)の主構造は、四隅の柱と枠を固く接合して支える「ラーメン構造」です。壁の中に斜めの筋交いがないため、窓や入口を広く取りやすいのが特徴です。ただし製品によっては、一部の壁に筋交い(ブレース)が入っているものもあり、その壁は窓や入口の配置が制約されます。
中古ユニットハウスを選ぶとき、構造は気にすべきですか?
大きな窓や広い入口が欲しいなら、筋交いの入っていない壁面を選ぶと開口を取りやすくなります。とはいえ構造だけで決めず、サイズ・状態・価格を合わせて比べるのが確実です。専門店の「BIG10(ビッグ10)」なら複数メーカーの中古を展示場で見比べられるので、筋交いの位置を含めて実物で確認できます。